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噛み合わせ

噛み合わせ・顎関節症

噛み合わせ・顎関節症

噛み合わせが全身の健康に与える影響

噛み合わせとは、上下の歯が接触する際の位置関係を指します。正しい噛み合わせは、食べ物をしっかり噛み砕くという基本的な機能だけでなく、顎の関節や筋肉、さらには姿勢や全身の健康にも大きな影響を与えます。

噛み合わせが悪いと起こるリスクに
ついて

  1. 特定の歯が早期に失われる噛み合わせが悪いと、特定の歯に過度な負担がかかり、その歯が早期に失われるリスクが高まります。
  2. 顎関節症顎の関節(顎関節)に不自然な力が加わることで、「顎関節症」を引き起こす原因になります。
    顎関節症は、顎の痛み、口の開けにくさ、カクカクという音、頭痛、肩こりなど、さまざまな症状を引き起こし、生活の質を大きく低下させる可能性があります。
  3. 顎の周囲の筋肉の緊張噛み合わせの問題は、顎の周囲の筋肉の緊張を引き起こし、その緊張が首や肩の筋肉にも波及することがあります。
  4. 特定の歯が早期に失われる噛み合わせが悪いと、特定の歯に過度な負担がかかり、その歯が早期に失われるリスクが高まります。その結果、慢性的な頭痛、肩こり、首の痛み、さらには姿勢の歪みにつながることもあります。

このように、噛み合わせは口腔内だけの問題ではなく、全身の健康と密接に関係しているのです。

当院では、噛み合わせの問題、特に顎関節症に対して、多面的なアプローチで診断と治療を行っています。口腔外科、補綴(被せ物・詰め物)、矯正歯科の各専門医が連携し、原因を正確に特定した上で、最適な治療法を提案します。

顎関節の構造と機能

顎関節は、下顎骨(下顎)と側頭骨(頭蓋骨の一部)をつなぐ関節で、耳の前方に位置しています。この関節は、口を開け閉めする、食べ物を噛む、話すなど、日常生活で頻繁に使用される重要な関節です。

1日に約2,000回以上動くとも言われており、人体の中で最も使用頻度の高い関節の1つです。

顎関節は、関節円板という軟骨のクッションが関節の間に挟まれており、この円板がスムーズな動きを助けています。

噛み合わせ・顎関節症

また、顎関節の周囲には、咀嚼筋(側頭筋、咬筋、内側翼突筋、外側翼突筋など)という筋肉があり、これらの筋肉が協調して働くことで、顎を動かしています。

噛み合わせに問題があると、顎関節や咀嚼筋に不自然な負担がかかります。その結果、関節円板がずれたり、筋肉が過度に緊張したり、関節自体が変形したりすることがあります。これらが顎関節症の原因となります。

顎関節症の原因の多様性と
正確な診断の重要性

顎関節症の原因の多様性と正確な診断の重要性

顎関節症の多様な原因

顎関節症は、単一の原因で起こることは少なく、複数の要因が複雑に絡み合って発症します。主な原因には、以下のようなものがあります。

  1. 噛み合わせの問題(咬合異常) 噛み合わせの問題(咬合異常)は、顎関節症の重要な原因の1つです。
    歯並びが悪い、奥歯が欠損している、被せ物の高さが合っていないなどの理由で、噛み合わせのバランスが崩れると、顎関節に不自然な力がかかります。また、片側だけで噛む癖があると、一方の顎関節に過度な負担がかかり、症状が出やすくなります。
  2. 筋肉の問題(筋性要因) 筋肉の問題(筋性要因)も大きな原因です。ストレスや緊張により、無意識に歯を食いしばったり、歯ぎしりをしたりすることがあります。この習慣により、咀嚼筋が過度に緊張し、筋肉痛のような症状が出ます。
    また、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用により、姿勢が悪くなることも、顎周囲の筋肉の緊張を引き起こします。
  3. 関節の構造的な問題 関節の構造的な問題も原因となります。関節円板がずれる(関節円板転位)、関節の骨が変形する(変形性顎関節症)などの構造的な問題が起こると、顎の動きが制限されたり、痛みが出たりします。
    これらは、外傷(顎を強打した、口を大きく開けすぎたなど)や、長期間にわたる負担の蓄積によって生じることがあります。
  4. 生活習慣や習癖 生活習慣や習癖も無視できない要因です。頬杖をつく癖、うつ伏せで寝る習慣、楽器の演奏(特に管楽器)、硬いものを頻繁に噛むなど、日常的な習慣が顎関節に負担をかけることがあります。
  5. 先天的な要因 先天的な要因も存在します。顎の骨の形態異常、関節の構造的な問題などが生まれつきある場合、顎関節症を発症しやすくなります。
  6. 後天的な要因 後天的な要因としては、事故や転倒による外傷、歯科治療後の噛み合わせの変化などがあります。

このように、顎関節症の原因は非常に多様であり、1つだけではなく、複数の要因が重なって症状が現れることがほとんどです。そのため、正確な診断と、原因に応じた適切な治療が重要です。

片側的なアプローチの限界と多面的診断の必要性

顎関節症の治療において、「噛み合わせだけを調整すれば治る」「マウスピースさえ使えば治る」「関節の手術をすれば治る」といった片側的なアプローチでは、十分な効果が得られないことがあります。なぜなら、前述のように、顎関節症の原因は多様であり、複数の要因が絡み合っているからです。

例えば、噛み合わせに問題があるように見えても、実際には筋肉の緊張が主な原因であることがあります。この場合、噛み合わせだけを調整しても、根本的な解決にはなりません。

逆に、筋肉の問題だけに注目していても、噛み合わせの異常が筋肉の緊張を引き起こしている場合は、噛み合わせの改善が必要です。

当院では、このような片側的なアプローチに偏らず、多面的な視点で顎関節症の原因を特定します。口腔外科医、補綴専門医、矯正専門医が協力し、それぞれの専門的な視点から診断を行います。

  • 口腔外科医
    関節の構造的な問題、外傷による損傷、筋肉の状態などを評価します。
  • 補綴専門医
    噛み合わせの状態、被せ物や詰め物の適合性、歯の欠損などを評価します。
  • 矯正専門医
    歯並びや顎の骨格的な問題を評価します。

これらの専門医が情報を共有し、総合的に診断することで、真の原因を見極めることができます。

咬合評価と画像診断を併用した精密な診断

正確な診断のためには、詳細な問診と検査が必要です。当院では、以下のような検査を組み合わせて、総合的に評価します。

  1. 詳細な問診 詳細な問診を行います。
    いつから症状があるか、どのような時に痛むか、過去に外傷があったか、生活習慣や癖はどうか、ストレスの状態はどうかなど、詳しくお聞きします。問診により、原因のヒントが得られることが多くあります。
  2. 顎関節と筋肉の触診 顎関節と筋肉の触診を行います。
    顎関節周囲を触診し、圧痛(押すと痛い)がないか、関節の動きは正常か、音がするかなどを確認します。また、咀嚼筋を触診し、筋肉の緊張や圧痛を評価します。
  3. 咬合評価 咬合評価では、噛み合わせの状態を詳細にチェックします。
    歯の接触状態、顎の動き、被せ物や詰め物の高さ、歯の欠損の有無などを評価します。必要に応じて、咬合器という装置を使用し、より精密に噛み合わせを分析します。
  4. 画像診断 画像診断も重要です。レントゲン撮影(パノラマ、セファロ)により、顎の骨の形態、歯の状態、顎関節の構造を評価します。
    さらに、必要に応じてCT撮影を行うこともあります。CT撮影では、顎関節の骨の状態を3次元的に詳細に観察でき、変形や骨の異常を発見できます。

これらの検査結果を総合的に分析し、各専門医が協議することで、患者様一人ひとりの顎関節症の原因を正確に特定します。原因が明確になれば、それに応じた最適な治療法を選択できます。

多専門医連携による包括的な
治療アプローチ

原因に応じた治療法の選択

顎関節症の治療は、原因によって大きく異なります。当院では、診断結果に基づいて、以下のような治療法を適切に組み合わせます。

マウスピース(スプリント)療法

筋肉の緊張が主な原因の場合、マウスピース(スプリント)療法が効果的です。

就寝時に装着するマウスピースにより、歯ぎしりや食いしばりから顎関節と筋肉を保護し、筋肉の緊張を和らげます。

また、理学療法(マッサージ、温熱療法、ストレッチ)や、生活習慣の改善指導(ストレス管理、姿勢の改善、頬杖をつかない、硬いものを避けるなど)も併用します。

マウスピース(スプリント)療法

咬合調整・補綴治療

噛み合わせの異常が原因の場合、咬合調整や補綴治療が必要になります。

高すぎる被せ物を削って調整したり、歯の欠損部分に被せ物やブリッジを入れたりすることで、噛み合わせのバランスを整えます。

当院では、補綴専門医が精密に咬合を評価し、適切な治療を行います。

咬合調整・補綴治療

矯正治療

歯並びや骨格的な問題が原因の場合、矯正治療が有効です。歯並びを整えることで、噛み合わせが改善し、顎関節への負担が軽減されます。

当院の矯正専門医が、顎関節症の改善も視野に入れた矯正治療計画を立案します。

矯正治療

外科的な治療

関節の構造的な問題が重度の場合、外科的な治療が必要になることがあります。

関節円板の位置を修正する手術、関節の洗浄を行う関節腔洗浄療法などがあります。

当院では、口腔外科医が、保存的治療で改善しない症例に対して、適切な外科的治療を提案します。

外科的な治療

多くの場合、これらの治療法を段階的に、あるいは組み合わせて行います。

まずは保存的な治療(マウスピース、理学療法、生活習慣の改善)から始め、それで改善しない場合に、噛み合わせの調整や矯正治療を検討します。外科的治療は、保存的治療で十分な効果が得られない場合の最終手段として位置づけられます。

外傷や急性症状への対応

顎関節症の中には、事故や転倒、スポーツ中の衝突などによる外傷が原因で発症するケースがあります。顎を強打した直後から、口が開けにくくなった、顎が痛むといった症状が現れる場合は、関節円板のずれや、関節の骨折、筋肉の損傷などが疑われます。

このような外傷性の顎関節症に対しても、当院では迅速に対応できます。口腔外科医が、レントゲンやCTなどの画像診断により、損傷の程度を正確に評価します。軽度の場合は、安静と消炎鎮痛剤の投与、冷却などの保存的治療で改善しますが、重度の場合は外科的治療が必要になることもあります。

また、突然口が開かなくなった、顎が外れたといった急性症状にも対応します。関節円板が急にずれて顎の動きが制限される「クローズドロック」、顎が外れて戻らなくなる「顎関節脱臼」などの症状に対して、適切な処置を行います。

当院では、各分野の専門医が在籍しているため、外傷の評価から治療、そしてリハビリテーションまで、一貫して院内で対応できます。他の医療機関を紹介したり、複数の施設を行き来したりする必要がないため、患者様の負担を最小限に抑えられます。

長期的なフォローアップとメンテナンス

顎関節症の治療は、症状が改善したら終わりではありません。再発を防ぐためには、長期的なフォローアップとメンテナンスが重要です。

フォローアップとメンテナンスの
内容について

治療により症状が改善した後も、定期的に顎関節と噛み合わせの状態をチェックします。マウスピースを使用している場合は、すり減りや破損がないか、適合状態に問題がないかを確認し、必要に応じて調整や交換を行います。

また、生活習慣や癖が再び顎関節に負担をかけていないか、ストレスの状態はどうかなども確認します。

さらに、治療過程を記録し、可視化することで、患者様にも改善の状態を分かりやすくお伝えします。治療前と治療後の顎の動きや開口量の変化、痛みの程度の変化などを記録し、治療の効果を客観的に評価します。

フォローアップとメンテナンスの内容について

顎関節症は、完全に治癒するというよりも、症状をコントロールし、生活の質を改善することが治療の目標です。

当院では、各専門医が連携し、患者様一人ひとりに最適な治療とメンテナンスを提供することで、長期的に快適な口腔機能を維持していただけるようサポートします。

よくある質問

顎関節症はどのような症状がありますか?
顎関節症の主な症状には、顎の痛み、口を開ける時の痛みや開けにくさ、顎を動かすとカクカク・ゴリゴリという音がする、口が大きく開けられない(開口障害)などがあります。
また、頭痛、首や肩のこり、耳の痛みや耳鳴り、めまいなど、一見顎とは関係なさそうな症状が現れることもあります。これらの症状は、片側だけに出る場合もあれば、両側に出る場合もあります。症状の程度も、軽い違和感から、日常生活に支障をきたす強い痛みまで、さまざまです。
顎関節症の治療期間はどのくらいですか?
治療期間は、症状の重症度や原因によって大きく異なります。
軽度の筋肉性の症状であれば、マウスピース療法と生活習慣の改善により、数週間〜数ヶ月で改善することが多いです。
噛み合わせの調整や補綴治療が必要な場合は、数ヶ月〜半年程度かかります。矯正治療を併用する場合は、1〜3年程度の期間が必要です。関節の構造的な問題が重度で外科的治療が必要な場合は、術後のリハビリ期間も含めて半年〜1年以上かかることもあります。
マウスピースは必ず作る必要がありますか?
すべての顎関節症の患者様にマウスピースが必要というわけではありません。
筋肉の緊張や歯ぎしり・食いしばりが主な原因の場合は、マウスピース療法が非常に効果的です。
一方、関節の構造的な問題が主な原因の場合や、噛み合わせの異常が明確な場合は、マウスピースだけでは十分な効果が得られないこともあります。当院では、詳細な診断に基づいて、マウスピース療法が有効かどうかを判断し、必要な場合にのみ製作します。
日常生活で気をつけることはありますか?
顎関節症の予防や症状の改善のためには、日常生活での注意が重要です。
硬いものや弾力のある食べ物(するめ、フランスパン、ガムなど)は避け、柔らかい食事を選びましょう。頬杖をつく、うつ伏せで寝る、片側だけで噛むといった癖は、顎関節に負担をかけるため、意識的に避けましょう。
また、ストレスを溜めない、良い姿勢を保つ、長時間同じ姿勢を続けない、大きなあくびを避けるなども大切です。歯ぎしりや食いしばりの自覚がある方は、日中も意識的に歯を離すように心がけましょう。
顎関節症は完全に治りますか?
顎関節症の予後は、原因や重症度によって異なります。
筋肉の緊張が主な原因で、早期に適切な治療を受けた場合は、完全に症状が消失することも多くあります。
一方、関節の構造的な変化(関節円板のずれ、骨の変形など)が進行している場合は、完全に元の状態に戻すことは難しいことがあります。
ただし、適切な治療により、症状をコントロールし、日常生活に支障がない程度まで改善することは可能です。当院では、患者様一人ひとりの状態に応じて、現実的な治療目標を設定し、最善の結果を目指します。