顎関節は、下顎骨(下顎)と側頭骨(頭蓋骨の一部)をつなぐ関節で、耳の前方に位置しています。この関節は、口を開け閉めする、食べ物を噛む、話すなど、日常生活で頻繁に使用される重要な関節です。
1日に約2,000回以上動くとも言われており、人体の中で最も使用頻度の高い関節の1つです。
顎関節は、関節円板という軟骨のクッションが関節の間に挟まれており、この円板がスムーズな動きを助けています。
噛み合わせとは、上下の歯が接触する際の位置関係を指します。正しい噛み合わせは、食べ物をしっかり噛み砕くという基本的な機能だけでなく、顎の関節や筋肉、さらには姿勢や全身の健康にも大きな影響を与えます。
このように、噛み合わせは口腔内だけの問題ではなく、全身の健康と密接に関係しているのです。
当院では、噛み合わせの問題、特に顎関節症に対して、多面的なアプローチで診断と治療を行っています。口腔外科、補綴(被せ物・詰め物)、矯正歯科の各専門医が連携し、原因を正確に特定した上で、最適な治療法を提案します。
顎関節は、下顎骨(下顎)と側頭骨(頭蓋骨の一部)をつなぐ関節で、耳の前方に位置しています。この関節は、口を開け閉めする、食べ物を噛む、話すなど、日常生活で頻繁に使用される重要な関節です。
1日に約2,000回以上動くとも言われており、人体の中で最も使用頻度の高い関節の1つです。
顎関節は、関節円板という軟骨のクッションが関節の間に挟まれており、この円板がスムーズな動きを助けています。

また、顎関節の周囲には、咀嚼筋(側頭筋、咬筋、内側翼突筋、外側翼突筋など)という筋肉があり、これらの筋肉が協調して働くことで、顎を動かしています。
噛み合わせに問題があると、顎関節や咀嚼筋に不自然な負担がかかります。その結果、関節円板がずれたり、筋肉が過度に緊張したり、関節自体が変形したりすることがあります。これらが顎関節症の原因となります。
顎関節症は、単一の原因で起こることは少なく、複数の要因が複雑に絡み合って発症します。主な原因には、以下のようなものがあります。
このように、顎関節症の原因は非常に多様であり、1つだけではなく、複数の要因が重なって症状が現れることがほとんどです。そのため、正確な診断と、原因に応じた適切な治療が重要です。
顎関節症の治療において、「噛み合わせだけを調整すれば治る」「マウスピースさえ使えば治る」「関節の手術をすれば治る」といった片側的なアプローチでは、十分な効果が得られないことがあります。なぜなら、前述のように、顎関節症の原因は多様であり、複数の要因が絡み合っているからです。
例えば、噛み合わせに問題があるように見えても、実際には筋肉の緊張が主な原因であることがあります。この場合、噛み合わせだけを調整しても、根本的な解決にはなりません。
逆に、筋肉の問題だけに注目していても、噛み合わせの異常が筋肉の緊張を引き起こしている場合は、噛み合わせの改善が必要です。
当院では、このような片側的なアプローチに偏らず、多面的な視点で顎関節症の原因を特定します。口腔外科医、補綴専門医、矯正専門医が協力し、それぞれの専門的な視点から診断を行います。
これらの専門医が情報を共有し、総合的に診断することで、真の原因を見極めることができます。
正確な診断のためには、詳細な問診と検査が必要です。当院では、以下のような検査を組み合わせて、総合的に評価します。
これらの検査結果を総合的に分析し、各専門医が協議することで、患者様一人ひとりの顎関節症の原因を正確に特定します。原因が明確になれば、それに応じた最適な治療法を選択できます。
顎関節症の治療は、原因によって大きく異なります。当院では、診断結果に基づいて、以下のような治療法を適切に組み合わせます。
筋肉の緊張が主な原因の場合、マウスピース(スプリント)療法が効果的です。
就寝時に装着するマウスピースにより、歯ぎしりや食いしばりから顎関節と筋肉を保護し、筋肉の緊張を和らげます。
また、理学療法(マッサージ、温熱療法、ストレッチ)や、生活習慣の改善指導(ストレス管理、姿勢の改善、頬杖をつかない、硬いものを避けるなど)も併用します。

噛み合わせの異常が原因の場合、咬合調整や補綴治療が必要になります。
高すぎる被せ物を削って調整したり、歯の欠損部分に被せ物やブリッジを入れたりすることで、噛み合わせのバランスを整えます。
当院では、補綴専門医が精密に咬合を評価し、適切な治療を行います。

歯並びや骨格的な問題が原因の場合、矯正治療が有効です。歯並びを整えることで、噛み合わせが改善し、顎関節への負担が軽減されます。
当院の矯正専門医が、顎関節症の改善も視野に入れた矯正治療計画を立案します。

関節の構造的な問題が重度の場合、外科的な治療が必要になることがあります。
関節円板の位置を修正する手術、関節の洗浄を行う関節腔洗浄療法などがあります。
当院では、口腔外科医が、保存的治療で改善しない症例に対して、適切な外科的治療を提案します。

多くの場合、これらの治療法を段階的に、あるいは組み合わせて行います。
まずは保存的な治療(マウスピース、理学療法、生活習慣の改善)から始め、それで改善しない場合に、噛み合わせの調整や矯正治療を検討します。外科的治療は、保存的治療で十分な効果が得られない場合の最終手段として位置づけられます。
顎関節症の中には、事故や転倒、スポーツ中の衝突などによる外傷が原因で発症するケースがあります。顎を強打した直後から、口が開けにくくなった、顎が痛むといった症状が現れる場合は、関節円板のずれや、関節の骨折、筋肉の損傷などが疑われます。
このような外傷性の顎関節症に対しても、当院では迅速に対応できます。口腔外科医が、レントゲンやCTなどの画像診断により、損傷の程度を正確に評価します。軽度の場合は、安静と消炎鎮痛剤の投与、冷却などの保存的治療で改善しますが、重度の場合は外科的治療が必要になることもあります。
また、突然口が開かなくなった、顎が外れたといった急性症状にも対応します。関節円板が急にずれて顎の動きが制限される「クローズドロック」、顎が外れて戻らなくなる「顎関節脱臼」などの症状に対して、適切な処置を行います。
当院では、各分野の専門医が在籍しているため、外傷の評価から治療、そしてリハビリテーションまで、一貫して院内で対応できます。他の医療機関を紹介したり、複数の施設を行き来したりする必要がないため、患者様の負担を最小限に抑えられます。
顎関節症の治療は、症状が改善したら終わりではありません。再発を防ぐためには、長期的なフォローアップとメンテナンスが重要です。
治療により症状が改善した後も、定期的に顎関節と噛み合わせの状態をチェックします。マウスピースを使用している場合は、すり減りや破損がないか、適合状態に問題がないかを確認し、必要に応じて調整や交換を行います。
また、生活習慣や癖が再び顎関節に負担をかけていないか、ストレスの状態はどうかなども確認します。
さらに、治療過程を記録し、可視化することで、患者様にも改善の状態を分かりやすくお伝えします。治療前と治療後の顎の動きや開口量の変化、痛みの程度の変化などを記録し、治療の効果を客観的に評価します。

顎関節症は、完全に治癒するというよりも、症状をコントロールし、生活の質を改善することが治療の目標です。
当院では、各専門医が連携し、患者様一人ひとりに最適な治療とメンテナンスを提供することで、長期的に快適な口腔機能を維持していただけるようサポートします。