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全身疾患にも深く関わる治療
歯周外科治療 進行した歯周病を改善する治療
歯周外科治療とは
歯周外科治療が必要になるケースとは
非外科治療では改善が
困難な重度歯周病
歯周病治療の基本は、スケーリングやルートプレーニング、GBTシステムによるバイオフィルム除去、そしてブルーラジカル(Blue Radical P‑01)による殺菌・除菌といった非外科的なアプローチです。
これらの治療により、多くの症例で炎症を抑え、歯周組織の状態を改善することができます。
非外科治療だけでは改善が得られないケースについて
重度に進行した歯周病では、非外科治療だけでは十分な改善が得られないケースがあります。具体的には、以下のような状況です。
- 深い歯周ポケットが残存している場合 歯周ポケットが非常に深く(6mm以上)、器具や薬剤が届きにくい部位では、奥底に残存する歯石や感染組織を完全に除去することが困難です。このような部位では、歯茎を開いて直接歯根面を目視しながら清掃する必要があります。
- 複雑な歯根形態がある場合 歯根が複雑に分岐している奥歯などでは、分岐部に感染が及んでいることがあります。この部位は器具でのアプローチが非常に難しく、外科的に歯茎を開いて直接清掃する必要があります。
- 歯槽骨の吸収が進行している場合 歯を支える骨(歯槽骨)が大幅に失われている場合、歯周組織再生療法などの外科的処置により、部分的に骨を再生させることが検討されます。
当院の治療フローにおける歯周外科治療の位置づけ
当院では、「通常治療 → ブルーラジカル → 専門医による歯周外科治療 → メンテナンス」という明確な治療の流れを確立しています。
歯周外科治療は、この流れの中で、非外科治療では改善が不十分と判断された場合に選択される、より高度な治療手段です。
まず基本治療とブルーラジカルによる治療を行い、その効果を評価します。
多くの症例ではこの段階で改善が見られますが、改善が不十分な部位や、最初から重度で外科治療が必要と判断される場合には、歯周病専門医による外科治療へと移行します。
このステップを踏むことで、過度な治療を避けつつ、必要な症例には適切なタイミングで高度な治療を提供することができます。
当院の歯周外科治療の特徴
歯周病専門医による高度な治療技術
当院には歯周病専門医が在籍しており、豊富な経験と高度な技術に基づいた歯周外科治療を提供しています。
歯周病専門医は、日本歯周病学会が認定する専門資格を持つ歯科医師であり、歯周病治療に関する深い知識と豊富な臨床経験を有しています。

専門医の技術と拡大視野で
行う精密な歯周外科治療
歯周外科治療は、歯茎を切開して歯根面に直接アプローチする高度な技術を要する処置です。歯根の形態を正確に把握し、感染組織や歯石を確実に除去するためには、専門的なトレーニングと経験が不可欠です。当院の歯周病専門医は、拡大視野(ルーペやマイクロスコープ)を使用し、精密な手技で治療を行います。
治療前の詳細な診査と治療計画
歯周外科治療を行う前には、CT撮影を含む詳細な検査を実施します。
CTにより、歯槽骨の吸収状態を三次元的に把握し、どの部位にどの程度の骨吸収があるのか、歯根の形態はどうなっているのかを正確に診断します。
この診断結果をもとに、「フラップ手術による徹底的な清掃が必要なのか」「歯周組織再生療法により骨の再生を試みるべきなのか」といった治療方針を決定します。
また、治療のリスクや予後についても詳しくご説明し、患者様に十分ご理解いただいた上で治療を進めます。

主な歯周外科治療の種類
フラップ手術による徹底的な
歯根面の清掃
フラップ手術は、歯周外科治療の中で最も基本的な術式です。
歯茎を切開して歯根面を露出させ、直接目視しながら、深い部位に残存する歯石や感染組織を徹底的に除去します。
非外科治療では、歯周ポケットの中を手探りで器具を操作するため、どうしても取り残しが生じる可能性があります。
フラップ手術では、歯茎を開いて歯根面を直接確認できるため、感染源を確実に除去することができます。
また、歯根の分岐部など、器具が届きにくい複雑な形態の部位も、目視下で丁寧に清掃することが可能です。

清掃後について
清掃後は、歯茎を元の位置に戻して縫合します。術後は定期的に状態を確認し、抜糸は通常1〜2週間後に行います。
治療により歯周ポケットが浅くなり、セルフケアがしやすい環境が整います。
歯周組織再生療法による骨の回復
歯周病により失われた歯槽骨は、通常は自然に回復することはありません。
しかし、歯周組織再生療法という特殊な外科治療により、部分的に骨を再生させることが可能です。
当院では、エムドゲインやリグロスといった歯周組織再生材料を使用した再生療法を行っています。これらの材料は、歯が発生する過程で重要な役割を果たすタンパク質を含んでおり、失われた歯周組織の再生を促進します。

歯周組織再生療法の治療の流れ
治療の流れとしては、フラップ手術と同様に歯茎を切開して歯根面を露出させ、徹底的に清掃した後、歯周組織再生材料を塗布します。その後、歯茎を縫合して治癒を待ちます。数ヶ月から1年程度かけて、徐々に歯周組織が再生していきます。
ただし、すべての症例で骨の再生が期待できるわけではありません。骨の吸収の形態や範囲、残存している骨の状態などにより、再生の可能性は大きく異なります。CT検査などで詳細に診断し、再生療法の適応があると判断された場合に、この治療をご提案いたします。
歯肉移植術や歯肉弁根尖側移動術
歯周病の進行により、歯茎が下がってしまうことがあります。歯茎が下がると、歯根が露出して知覚過敏が生じたり、審美的な問題が生じたりします。
また、露出した歯根面は虫歯になりやすく、さらに歯周病が進行しやすい状態でもあります。このような場合には、歯肉移植術により、他の部位から歯茎を移植して、露出した歯根面を覆う治療を行うことがあります。
また、歯肉弁根尖側移動術という術式により、歯茎の位置を調整し、歯周ポケットを浅くすることも可能です。
これらの治療は、症例の状態や患者様の希望に応じて選択されます。

歯周外科治療の流れと
術後の経過
治療当日の流れ
歯周外科治療は、通常、局所麻酔下で行います。麻酔が効いた状態で処置を行うため、治療中の痛みはほとんど感じません。治療時間は、処置の範囲や術式によって異なりますが、通常60〜90分程度です。
治療後は、止血を確認してから帰宅していただきます。当日は、激しい運動や飲酒、喫煙は避けていただきます。また、処置した部位は触らないようにし、反対側で食事を摂るようお願いしています。

術後の経過と注意点
- 痛みや腫れについて 麻酔が切れた後、数時間から数日間は、痛みや腫れが生じることがあります。痛み止めや抗生物質を処方いたしますので、指示通りに服用してください。通常、痛みは2〜3日程度で治まり、腫れも1週間程度で引いていきます。
- 抜糸について 抜糸は、通常1〜2週間後に行います。抜糸までの間は、処置した部位のブラッシングは控えていただき、うがい薬で口腔内を清潔に保ちます。抜糸後は、担当衛生士の指導のもと、徐々に通常のブラッシングに戻していきます。
- 歯周組織再生療法について 歯周組織再生療法を行った場合には、組織の再生に数ヶ月から1年程度かかります。定期的にレントゲンやCT撮影で経過を観察し、骨の再生状況を確認します。
メンテナンスへの移行と長期的な管理
歯周外科治療により歯周組織の状態が改善した後は、定期的なメンテナンスへ移行します。外科治療により一度改善した状態でも、適切なメンテナンスを継続しなければ再発のリスクがあります。
メンテナンスでは、歯周ポケットの状態確認、GBTシステムによるバイオフィルム除去、必要に応じてブルーラジカルによる除菌を行います。また、担当衛生士によるブラッシング指導により、患者様ご自身のセルフケアの質を高めることも重要です。
歯周病は慢性疾患であり、長期的な管理が不可欠です。当院では、治療からメンテナンスまで一貫した体制でサポートし、患者様の口腔の健康を守ります。

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よくある質問
- 歯周外科治療は痛いですか?
- 治療中は局所麻酔を使用するため、痛みを感じることはほとんどありません。
麻酔が切れた後、数時間から数日間は痛みや腫れが生じることがありますが、痛み止めを服用していただくことで、日常生活に大きな支障をきたすことなく過ごせる方がほとんどです。痛みの程度には個人差がありますが、一般的には2〜3日程度で治まります。 - 治療後、仕事や日常生活に影響はありますか?
- 治療当日は安静にしていただくことをお勧めしますが、翌日からは通常通り仕事や日常生活を送っていただけることがほとんどです。
ただし、激しい運動や重労働は、1週間程度控えていただくようお願いしています。また、処置した部位で硬いものを噛むことは避け、反対側で食事を摂るようにしてください。 - 歯周組織再生療法で、失った骨は完全に元に戻りますか?
- 歯周組織再生療法により、部分的に骨を再生させることは可能ですが、失った骨が完全に元通りになるわけではありません。
再生の程度は、骨の吸収の形態や範囲、残存している骨の状態、患者様の年齢や全身状態などによって大きく異なります。治療前のCT検査などで詳細に診断し、どの程度の再生が期待できるかをご説明いたします。 - 歯周外科治療の費用はどのくらいですか?
- フラップ手術などの基本的な歯周外科治療は、保険診療で行うことができます。
3割負担の場合、処置する範囲にもよりますが、1回あたり数千円〜1万円程度が目安となります。
一方、歯周組織再生療法(エムドゲインやリグロスを使用)は、使用する材料や範囲によって費用が異なります。リグロスは保険適用ですが、エムドゲインは自費診療となります。詳細については、診察時にお見積もりをお渡しいたします。 - 歯周外科治療をしても、歯周病は再発しますか?
- 適切なメンテナンスを継続すれば、再発のリスクを大幅に抑えることができます。
歯周外科治療により歯周ポケットが浅くなると、セルフケアもしやすくなり、プラークコントロールが改善します。
しかし、セルフケアが不十分になったり、メンテナンスを中断したりすると、再び細菌が増殖し、炎症が再発する可能性があります。治療後も定期的なメンテナンスと、毎日の丁寧なセルフケアを継続することが、長期的な成功の鍵となります。





