訪問歯科 通院が難しい方のための治療法

訪問歯科とは

ご自宅や施設で受けられる専門的な
歯科治療とケア

訪問歯科は、病気や障害、高齢などの理由で歯科医院への通院が困難な方のために、歯科医師や歯科衛生士がご自宅や入所施設に伺い、歯科治療や口腔ケアを提供するサービスです。
住み慣れた環境で、安心して歯科診療を受けていただけます。

訪問歯科の重要性

高齢化が進む日本において、訪問歯科の重要性はますます高まっています。歯や口腔内の問題は、食事の楽しみを奪うだけでなく、栄養状態の悪化、誤嚥性肺炎のリスク増加、全身の健康状態の低下につながります。

特に、寝たきりの方や要介護の方にとって、定期的な口腔ケアは、生活の質を維持し、健康寿命を延ばすために不可欠です。

当院の訪問歯科では、単に虫歯や入れ歯の治療を行うだけでなく、口腔ケアの指導、嚥下機能の評価、ご家族や介護スタッフへのケア方法の指導など、総合的なサポートを提供します。

また、ケアマネージャー資格を持つ歯科衛生士が在籍しており、介護の視点を踏まえた専門的なケアと、他職種との円滑な連携が可能です。

訪問歯科は、基本的に保険診療（医療保険または介護保険）で受けることができます。後期高齢者医療制度や障害者医療制度などの公費負担医療の対象となる方も多く、経済的な負担を抑えながら、必要な歯科治療と口腔ケアを受けられます。

訪問歯科で提供できる
治療とケア

一般的な歯科治療と口腔ケア

訪問歯科では、持ち運び可能な専用の機材を使用し、院内と同等の治療を提供できます。虫歯の治療、抜歯、歯周病治療（歯石除去や歯茎の清掃）などを行います。

入れ歯のケアついて

特に重要なのが入れ歯の製作、調整、修理です。

合わない入れ歯は食事がしにくいだけでなく、痛みや口内炎の原因になります。訪問時に入れ歯の状態をチェックし、調整や修理を行います。

新しい入れ歯が必要な場合は、型取りから製作、装着まで、すべて訪問で対応できます。

口腔ケアについて

専門的な口腔ケアも訪問歯科の重要な役割です。

口腔内には多くの細菌が存在しており、口腔清掃が不十分だと、この細菌が誤嚥により肺に入り、「誤嚥性肺炎」を引き起こします。誤嚥性肺炎は高齢者の死亡原因の上位を占める深刻な疾患です。

歯科衛生士が専門的な口腔ケアを行い、口腔内を清潔に保つことで、誤嚥性肺炎のリスクを大幅に低減できます。

歯のブラッシング、舌の清掃、口腔内の保湿、入れ歯の清掃などを行います。また、ご家族や介護スタッフに対して、日常的な口腔ケアの方法を丁寧に指導します。

嚥下機能の評価とリハビリテーション

加齢や病気により、飲み込む機能（嚥下機能）が低下すると、食事中にむせやすくなったり、誤嚥のリスクが高まったりします。当院の訪問歯科では、嚥下機能の簡易評価を行い、問題が見られる場合は、嚥下訓練や口腔機能向上のためのリハビリテーションを指導します。

口腔周囲の筋肉を鍛える体操、舌の運動、発声練習など、簡単にできるリハビリテーションを患者様やご家族にお伝えします。また、必要に応じて、食事の形態（きざみ食、とろみ食など）や姿勢についてのアドバイスも行います。

ケアマネージャー資格を持つ
衛生士と多職種連携

介護の視点を踏まえた専門的なケア

当院には、ケアマネージャー（介護支援専門員）の資格を持つ歯科衛生士が在籍しています。この衛生士は、歯科衛生士としての専門知識に加えて、介護の視点を踏まえた口腔ケアを提供できます。

ケアマネージャーの資格を持つことで、患者様の介護度や日常生活の状況を的確に把握し、その方に最適な口腔ケアプランを立案できます。また、ケアマネージャーとの連携も非常にスムーズで、介護サービス全体の中で口腔ケアをどのように位置づけるべきか、専門的な視点からアドバイスできます。

ケアマネージャーや医療機関との
密な連携

訪問歯科を効果的に提供するためには、他の医療・介護サービスとの連携が不可欠です。当院では、ケアマネージャー、訪問看護師、訪問介護スタッフ、かかりつけ医などと密に情報を共有し、患者様を多方面からサポートします。

施設での定期的な訪問と
訪問診療の流れ

施設に入所されている方に対しては、定期的な訪問スケジュールを組み、計画的に口腔ケアと治療を提供します。施設と連携し、月に1〜2回程度の定期訪問を実施し、入所者様全員の口腔内をチェックします。また、施設の介護スタッフに対して、口腔ケアの方法や注意点を指導します。

よくある質問

訪問歯科診療の対象エリアはどこまでですか？

訪問歯科診療は、法律により、歯科医院から半径16km以内と定められています。
当院からの訪問可能エリアについては、お電話でお問い合わせください。住所をお伝えいただければ、訪問可能かどうかをお答えします。

訪問歯科診療の費用はどのくらいかかりますか？

訪問歯科診療は、基本的に保険診療で行われます。
医療保険または介護保険が適用され、自己負担額は患者様の保険の種類や負担割合によって異なります。
一般的に、1回の訪問で2,000円〜5,000円程度の自己負担となることが多いですが、治療内容によって変動します。初回訪問時に、詳しい費用についてご説明します。

どのくらいの頻度で訪問してもらえますか？

患者様の状態や治療の必要性によって異なります。
治療が必要な場合は、週に1回程度の訪問で治療を進めることもあります。
治療が完了した後のメンテナンスでは、月に1〜2回程度の訪問が一般的です。緊急の場合は、ご連絡いただければ可能な限り早く対応します。

訪問時に家族が立ち会う必要がありますか？

初回訪問時は、できればご家族に立ち会っていただくことをお勧めします。
患者様の全身状態や日常生活の様子、服薬状況などを詳しくお聞きする必要があるためです。
2回目以降は、患者様お一人でも問題ありませんが、重要な判断が必要な場合などは、ご家族に立ち会っていただくことがあります。

施設に入所していますが、訪問歯科診療を受けられますか？

はい、可能です。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、有料老人ホームなど、さまざまな施設への訪問診療を行っています。
施設に入所されている場合は、まず施設のスタッフやケアマネージャーにご相談ください。施設と当院が連携し、定期的な訪問スケジュールを調整します。