美しい歯並びと健康的な
噛み合わせを実現する矯正治療
矯正歯科は、歯並びや噛み合わせの問題を改善する専門的な治療分野です。
単に見た目を美しくするだけでなく、正しい噛み合わせを獲得することで、食べ物をしっかり噛めるようになり、消化機能の向上や顎関節への負担軽減など、全身の健康にも良い影響をもたらします。
歯並びが悪い事によって高まる
リスクについて
歯並びが悪いと、特定の歯に過度な負担がかかり、その歯が早期に失われるリスクが高まります。また、歯が重なり合っている部分は歯ブラシが届きにくく、虫歯や歯周病になりやすくなります。
さらに、発音が不明瞭になったり、顎関節症の原因になったりすることもあります。矯正治療により、これらの問題を根本的に解決し、生涯にわたって健康な歯を保つ基盤を築くことができます。
矯正治療は子どもの時期に行うイメージが強いかもしれませんが、成人になってからでも十分に効果的な治療が可能です。近年は、矯正治療を希望される成人の方が増えており、治療方法も多様化しています。
当院では、矯正専門医が患者様一人ひとりの症状や生活スタイル、ご希望に応じて、最適な治療計画を提案します。
日本人は歯並びが悪い?
日本人は欧米人と比較して顎が小さく、歯が大きい傾向があります。そのため、すべての歯がきれいに並ぶためのスペースが不足しやすく、歯並びに問題を抱えている方が多いのが特徴です。
歯が重なり合ったり、前に飛び出したり、噛み合わせがずれたりといった症状は、日本人にとって決して珍しいことではありません。だからこそ、矯正治療によって歯並びと噛み合わせを整えることは、多くの方にとって口腔の健康を守るための重要な選択肢となります。
矯正専門医による質の高い治療
当院には、矯正歯科を専門とする歯科医師が在籍しています。矯正専門医は、歯の移動のメカニズム、顎の成長と発育、顔貌とのバランスなど、矯正治療に関する高度な知識と豊富な臨床経験を持っています。
矯正治療は、2〜3年という長期間にわたる治療です。その間、歯がどのように動いているか、治療計画通りに進んでいるか、問題が生じていないかを正確に評価し、必要に応じて治療計画を修正する判断力が求められます。
矯正専門医は、このような複雑な治療を安全かつ効率的に進めるための専門的なトレーニングを受けており、質の高い治療結果を提供できます。
専門医との連携した治療について
矯正治療は虫歯治療や歯周病治療とは異なる専門性を持つ分野です。一般的な歯科治療の知識だけでは対応が難しい症例も多く、専門医による診断と治療が重要です。
当院では、矯正専門医が中心となり、他の専門分野の歯科医師とも連携しながら、総合的な治療を提供しています。
成人矯正の特徴と重要性
成人の矯正治療は、小児矯正とは異なる特徴があります。成人の場合、顎の成長が止まっているため、顎の骨の大きさを変えることはできません。そのため、既存の骨格の中で歯を移動させることが治療の中心になります。
一方で、成人は治療に対する協力が得られやすく、装置の使用や通院を確実に行っていただけるため、治療計画が立てやすいという利点もあります。
成人矯正を希望される
さまざまな理由について
審美的な理由
- 見た目のコンプレックスを解消したい
- 結婚式や就職活動など
人生の節目に合わせて歯並びを整えたい
機能的な理由
- 噛み合わせの問題で食事がしにくい
- 顎関節に痛みがある
- 歯周病が進行しやすい歯並びを
改善したい
近年は、40代、50代、さらには60代以降で矯正治療を始められる方も増えています。「今さら遅い」ということはなく、歯や歯茎が健康であれば、何歳からでも矯正治療は可能です。
ただし、成人の場合は歯周病のリスクに注意が必要です。矯正治療中は装置があるため口腔清掃が難しくなり、歯周病が悪化する可能性があります。当院では、矯正治療と並行して、歯周病の管理も徹底的に行います。
ワイヤー矯正による
確実な歯の移動
ワイヤー矯正の仕組みと特徴
ワイヤー矯正は、歯の表面に「ブラケット」と呼ばれる小さな装置を接着し、そこにワイヤーを通して歯を移動させる治療法です。100年以上の歴史があり、最も実績のある矯正方法として、世界中で広く行われています。
ワイヤー矯正で歯が動く原理は、「骨のリモデリング」という生物学的な仕組みに基づいています。歯は顎の骨の中に埋まっており、歯と骨の間には「歯根膜」という薄い組織があります。
ワイヤーによって歯に持続的な力が加わると、歯が動く方向の歯根膜が圧迫され、反対側の歯根膜は引き伸ばされます。
圧迫された側では、「破骨細胞」という細胞が骨を吸収(溶かす)し、引き伸ばされた側では「骨芽細胞」という細胞が新しい骨を作ります。この骨の吸収と形成が繰り返されることで、歯は少しずつ移動していきます。この過程には時間がかかるため、矯正治療は数年単位の期間が必要なのです。適切な力をかけ続けることで、確実に歯を目的の位置に移動させることができます。
ワイヤー矯正の特徴について
ワイヤー矯正の最大の特徴は、あらゆる症例に対応できる汎用性の高さです。
軽度の歯並びの乱れから、重度の不正咬合まで、幅広い症例に適用できます。治療中、矯正専門医はワイヤーの太さや形状を変えたり、ゴムやバネなどの補助装置を使用したりすることで、細かく力をコントロールし、精密な歯の移動を実現します。
近年のワイヤー矯正は、技術や材料の進歩により、従来よりも快適で効率的になっています。ブラケットは小型化され、違和感や痛みが軽減されています。
また、ワイヤーも柔軟性と弾力性に優れた素材が使用されるようになり、より優しい力で歯を動かせるようになりました。
難症例や外科併用ケースへの対応
ワイヤー矯正の大きな強みは、難症例にも対応できることです。
例えば、歯が大きく回転している場合、歯根の角度を大きく変える必要がある場合、複数の歯を同時に異なる方向に動かす必要がある場合など、複雑な歯の移動が求められる症例では、ワイヤー矯正が最も確実な方法です。
また、骨格的な問題が重度の場合、矯正治療だけでは十分な改善が得られないことがあります。このような症例では、「外科的矯正治療」と呼ばれる、矯正治療と外科手術を併用するアプローチが必要になります。
外科的矯正治療について
具体的には、まずワイヤー矯正で歯の位置を整え、その後、全身麻酔下で顎の骨を切って位置を変える手術を行い、さらに術後もワイヤー矯正で仕上げを行います。
外科的矯正治療は、重度の出っ歯(上顎前突)、受け口(下顎前突)、顔の左右非対称など、顎の骨の位置や大きさに問題がある症例に適応されます。この治療により、噛み合わせだけでなく、顔貌のバランスも大きく改善できます。
当院では、矯正専門医と口腔外科医が密に連携し、外科的矯正治療が必要な症例にも対応しています。
術前の矯正治療、手術計画の立案、術後の仕上げまで、一貫して院内で管理できるため、患者様は複数の医療機関を行き来する負担がありません。
目立ちにくい矯正装置の選択肢
成人の患者様の中には、仕事や日常生活で人と接する機会が多く、矯正装置が目立つことに抵抗を感じる方もいらっしゃいます。そのようなニーズに応えるため、当院では目立ちにくい矯正装置も提供しています。
審美ブラケット
審美ブラケットは、歯の色に近い白色や透明な素材で作られたブラケットです。
従来の金属製ブラケットに比べて目立ちにくく、近くで見なければ装置を付けていることがほとんど分かりません。機能的には金属製ブラケットと同等の効果があり、幅広い症例に使用できます。
その他の目立ちにくい矯正治療
舌側矯正(リンガル矯正)という、歯の裏側にブラケットを装着する方法もあります。この方法では、正面から見たときに装置がまったく見えないため、矯正治療中であることを他人に気づかれることはほとんどありません。
ただし、舌側矯正は技術的に難易度が高く、費用も高額になります。また、装置が舌に当たるため、慣れるまで発音しにくかったり、違和感が強かったりすることがあります。
他にも、ワイヤー矯正(ブラケット矯正)以外に、「マウスピース矯正」という選択肢もあります。
詳しくは下記のページで説明していますので、ご覧ください。
合わせて読んでほしい!
「マウスピース矯正」
透明で取り外し可能な矯正治療の説明
患者様のライフスタイル、ご予算、症例の難易度などを考慮して、最適な装置を提案いたします。
多専門医連携による
総合的な治療アプローチ
初診から治療開始までの流れ
矯正治療は、まず初診相談から始まります。
患者様のお悩みやご希望をお聞きし、口腔内を診察した上で、矯正治療の必要性や大まかな治療方針、期間、費用についてご説明します。
精密検査で使用する
口腔内スキャナーについて
矯正治療を希望される場合は、精密検査を行います。
当院では、口腔内スキャナーを導入しており、従来の印象材を使った歯型採取に比べて、より快適で正確な検査が可能です。口腔内スキャナーは、小型のカメラで口腔内を撮影し、歯や歯茎の形状をデジタルデータとして記録する装置です。
口腔内スキャナーを使用する
メリット
従来の印象材による歯型採取は、口の中に粘土状の材料を入れて固まるまで待つ必要があり、嘔吐反射が強い方にとっては苦痛を伴うことがありました。
口腔内スキャナーを使用すれば、このような不快感なく、短時間で精密な歯型データを取得できます。また、デジタルデータは変形することがないため、従来の石膏模型よりも正確です。
取得したデジタルデータは、コンピュータ上で分析し、治療計画の立案に活用します。患者様にも3D画像をお見せしながら、現在の歯並びの状態や、治療後の予測される歯並びをご説明できるため、治療内容をより具体的にイメージしていただけます。
精密検査では、口腔内スキャナーによる歯型採取のほか、レントゲン撮影(パノラマ、セファロ)、口腔内写真、顔貌写真なども行います。これらのデータを総合的に分析し、詳細な治療計画を立案します。
検査結果と治療計画については、後日改めてご説明の時間を設け、使用する装置、抜歯の必要性、治療期間、費用などについて詳しくお伝えします。
矯正治療と他の歯科治療の連携
矯正治療を成功させるためには、口腔全体の健康が保たれていることが前提です。
虫歯や歯周病がある状態で矯正治療を開始すると、治療中に症状が悪化したり、計画通りに歯が動かなかったりすることがあります。また、矯正治療により歯を動かした結果、被せ物や詰め物の形が合わなくなることもあります。
- 欠損やインプラントが必要なケースでは噛み合わせ全体の診断が重要特に、歯を失った部分がある方や、インプラント治療が必要な方の場合、局所的な問題だけでなく、口腔全体のバランスや噛み合わせに問題を抱えているケースが少なくありません。
歯が抜けたまま放置していると、隣の歯が倒れ込んだり、噛み合う歯が伸びてきたりして、噛み合わせ全体が崩れていきます。このような状態では、単に失った歯を補うだけでは根本的な解決にはなりません。
- 矯正専門医・補綴医・インプラント医が協力する総合治療当院では、噛み合わせの診断から治療計画を立て、矯正専門医、補綴医(被せ物・詰め物の専門医)、インプラント医が協力して、一つの口腔内を総合的に治療していきます。
例えば、まず矯正治療で倒れた歯を起こし、適切なスペースを確保してからインプラントを埋入する。あるいは、噛み合わせを整えた上で、最終的な被せ物を製作する。このように、各専門医がそれぞれの専門性を活かしながら連携することで、長期的に安定した治療結果を実現できます。
- 治療前から治療後まで院内で一貫した対応当院には、矯正専門医だけでなく、一般歯科、歯周病、補綴、口腔外科など、各分野の専門医が在籍しています。矯正治療開始前に、虫歯や歯周病の治療を確実に行い、口腔内を健康な状態に整えてから矯正を始めます。矯正治療中に虫歯が見つかった場合も、院内で迅速に対応できます。
また、矯正治療後には、被せ物や詰め物の形を調整したり、歯の形態を整えたりする「仕上げ治療」が必要になることがあります。当院では、これらの治療も院内で一貫して行えるため、患者様は複数の医療機関を探す手間がありません。矯正専門医と他の専門医が情報を共有しながら治療を進めることで、より質の高い最終結果を実現できます。
治療過程の記録と可視化
矯正治療は長期間にわたるため、治療の進行状況を正確に把握し、患者様にも分かりやすく伝えることが重要です。
当院では、治療開始時と定期的な来院時に、口腔内写真、顔貌写真、レントゲン写真などを記録し、治療の経過を可視化しています。
これらの記録を患者様にもお見せしながら、「歯がどのように動いたか」「治療計画のどの段階まで進んでいるか」を具体的にご説明します。
治療の進捗が目に見えて分かることで、患者様のモチベーションも高まり、長期間の治療を前向きに続けていただけます。また、治療計画の途中で修正が必要になった場合も、記録をもとに適切に判断できます。
保定期間の重要性とメンテナンス
矯正治療により歯を動かした後、そのままにしておくと、歯は元の位置に戻ろうとします。この「後戻り」を防ぐために、「保定期間」と呼ばれる期間が必要です。
保定期間中は、「リテーナー」と呼ばれる装置を使用して、歯を新しい位置に安定させます。保定期間は通常2年以上必要で、この期間を適切に管理することが、矯正治療の長期的な成功につながります。
当院では、矯正専門医が保定期間中も定期的に経過観察を行い、後戻りの兆候がないか、リテーナーが適切に機能しているかをチェックします。
患者様には、リテーナーの正しい使用方法や口腔清掃の方法を丁寧に指導し、美しい歯並びを長期間維持していただけるようサポートします。