マイクロ根管治療の最大の特徴は、歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用することです。
マイクロスコープは20〜30倍という高倍率で治療部位を観察できるだけでなく、強力な照明により治療部位を明るく照らすことができます。この高照度の光により、根管内部の微細な構造や、肉眼では見えない感染源、根管壁の微細なクラックまで確認することが可能になります。
根管治療は歯を保存するための重要な処置ですが、すべての症例が同じ難易度というわけではありません。
根管の形態が複雑に湾曲している場合、非常に細い根管が複数存在する場合、あるいは過去に根管治療を行ったものの再び感染が起きてしまった再治療のケースなどでは、より高度な精密さが求められます。
こうした難症例では、肉眼やルーペでの治療では見落としやすい細かな根管や、感染源の取り残しが生じるリスクが高まります。
また、根管内部に微細なクラック(ひび割れ)が存在する場合、これを早期に発見して適切に対処しなければ、治療後の予後が悪化する可能性があります。マイクロ根管治療は、こうした高難度の症例において、成功率を大きく向上させることができる治療法です。
当院では、保険診療の根管治療においても症例に応じてルーペやラバーダムを使用し、可能な限り精密で清潔な治療を提供しています。
「保険だから簡易、自費だから精密」という単純な区別ではなく、それぞれの症例に最適な治療方法を選択するという考え方を大切にしています。
保険診療には使用できる機材や確保できる治療時間に制約があることも事実です。
マイクロ根管治療では、歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)による20〜30倍の高倍率視野、ラバーダム防湿の標準装備、CT撮影による三次元的な診断、そして約90分という十分な治療時間を確保することで、保険治療よりもさらに高度で精密な処置が可能になります。
これにより、難症例における成功率を高め、長期的な予後の改善を目指すことができます。
マイクロ根管治療の最大の特徴は、歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用することです。
マイクロスコープは20〜30倍という高倍率で治療部位を観察できるだけでなく、強力な照明により治療部位を明るく照らすことができます。この高照度の光により、根管内部の微細な構造や、肉眼では見えない感染源、根管壁の微細なクラックまで確認することが可能になります。

根管は直径1mm以下の非常に細い管であり、その内部は複雑に枝分かれしています。
保険診療で使用する10倍のルーペでも一定の拡大視野は得られますが、マイクロスコープの高倍率と高照度により、より確実に根管の入り口を特定し、見落としがちな細い根管も発見できます。
また、根管内部の清掃状態を詳細に確認しながら処置を進めることで、感染源の取り残しを最小限に抑えることができます。
治療中はマイクロスコープの映像を録画しており、治療後に患者様へ治療内容や経過を説明する際に活用しています。
実際の映像をご覧いただくことで、どのような処置が行われたのか、根管の状態がどのように改善したのかを視覚的に理解していただけます。

マイクロ根管治療では、すべての症例においてラバーダム防湿を標準装備として使用します。ラバーダムは治療する歯だけを隔離し、唾液や細菌の侵入を完全に遮断する薄いゴム製のシートです。
根管治療において「無菌的な環境」を維持することは絶対条件であり、どれだけ精密に清掃しても、治療中に新たな細菌が侵入してしまえば治療の成功率は大きく低下します。

治療前にはCT撮影を行い、根管の形態や本数、湾曲の程度、病変の大きさなどを三次元的に把握します。
従来の二次元的なレントゲン写真では確認できない情報も、CTであれば詳細に把握できます。この情報をもとに、より正確な治療計画を立案し、効率的かつ確実な処置を行うことができます。

マイクロ根管治療では、1回の治療に約90分という十分な時間を確保しています。
高倍率での精密な処置には時間がかかりますが、急いで処置を進めることで生じる取り残しや不十分な清掃を防ぐことができます。この時間をかけた丁寧な処置により、再治療のリスクを大幅に軽減することが可能です。
根管の形態は複雑であり、特に再治療の場合には過去の充填材を除去しながら進める必要があるため、さらに慎重な対応が求められます。十分な治療時間を確保することで、焦らず確実に各ステップを進めることができ、結果として治療の成功率が向上します。
マイクロ根管治療では、根管を充填する際の封鎖材や、その後の土台(コア)に使用する材料についても、保険診療とは異なる高品質なものを選定しています。根管封鎖においては、より密閉性の高い材料を使用することで、治療後に細菌が再侵入する経路を確実に遮断します。
また、神経を取り除いた歯は栄養供給がなくなるため、若干もろくなる傾向があります。そのため、土台の材料には高耐久性で歯質と接着性の良いものを選ぶことで、歯の強度を保ち、長期的に機能を維持できるようにしています。
材料の選定一つで治療後の予後は大きく変わるため、症例ごとに最適な材料を慎重に選択しています。
根管治療は、それ自体で完結するものではありません。マイクロ根管治療においても、保険の根管治療と同様に、治療の段階から最終的な補綴処置(被せ物など)までを一貫して設計しています。
具体的には、根管治療を担当する歯科医師と、被せ物を作る補綴医、そして実際に技工物を製作する歯科技工士が情報を共有しながら治療を進めます。
根管充填後の土台の形態、被せ物の設計、噛み合わせのバランスまでを考慮することで、治療後の密閉性を高め、長期的な予後の改善を目指しています。
特にマイクロ根管治療では、高精度な根管処置を行うからこそ、その後の補綴処置も同様に高い精度で仕上げることが重要です。
チーム全体で治療のゴールを共有し、一貫した計画のもとで処置を進めることで、「また痛くなった」「被せ物がすぐ外れた」といったトラブルを防ぎ、長期的に安定した状態を維持できる可能性が高まります。
マイクロ根管治療後も、保険の根管治療と同様に、数日間は治療した歯に違和感や軽い痛みを感じることがあります。これは治療により根の先端周囲の組織に刺激が加わったためで、多くの場合は自然に治まります。ただし、強い痛みや腫れが続く場合には、早めにご連絡ください。
マイクロ根管治療は、高倍率視野と十分な治療時間を確保することで、感染源の取り残しや見落としを最小限に抑えることができます。
そのため、保険治療と比較して再治療が必要になるリスクが低く、長期的な予後が良好である傾向があります。しかし、治療後のケアを怠れば、どのような治療でも再発のリスクはゼロにはなりません。
治療した歯は神経を取り除いているため痛みを感じにくく、虫歯が再発しても気づきにくいという特徴があります。
定期的な検診を受け、レントゲンやCT検査で状態を確認することが重要です。また、日々のブラッシングやフロスでのケアを丁寧に行い、新たな感染を防ぐことが長期的な成功につながります。
被せ物を装着した後も、定期的なメンテナンスを続けることで、治療した歯を長く使い続けることができます。マイクロ根管治療は高度な処置ですが、その効果を最大限に活かすためには、患者様自身のセルフケアと定期的な専門家によるチェックが欠かせません。