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前歯をやりなおしたい

前歯の抜歯即時埋入治療

患者様の主訴

患者様の主訴

前歯をやりなおしたい

前歯を再治療したいといったお悩みをお持ちの患者様でした。以前の修復物がよく脱離しており、不満を抱えていらっしゃいました。
前歯という目立つ部位であることから、見た目の回復と同時に、長く使える状態に整えたいというご希望をお持ちでした。

初診時のレントゲン写真

初診時におけるレントゲン写真

治療前の口腔内写真を確認すると、上顎前歯部には変色した大きな被せ物が複数装着されており、歯肉の広い範囲にわたって赤みと腫れが認められました。慢性的な炎症が長期間にわたって続いていた状態と考えられました。

レントゲン写真でも、前歯部(右上2番・左上1番)の歯根周囲の状態から、これらの歯を保存することが難しいと判断しました。

一方で、周囲の骨の状態を確認したところ、抜歯と同時にインプラントを埋め込むための条件が整っていると判断できたため、できる限り骨や歯肉へのダメージを最小限に抑える治療として、抜歯したその日にインプラントを埋め込む「抜歯即時埋入」を選択しました。

なぜ抜歯即時埋入を選択したのか

通常のインプラント治療では、歯を抜いた後にいったん骨の回復を待ち、数ヶ月後に改めてインプラントを埋める流れをとります。しかし抜歯後に時間が経つと、骨や歯肉は自然に吸収されて痩せていきます。これはインプラントを支える土台が失われることを意味します。

「抜歯即時埋入」は、抜歯した穴をそのままインプラントを埋める場所として利用するため、こうした骨・歯肉の変化を最小限に抑えることができます。特に前歯部では歯肉のラインが見た目に直結するため、骨や歯肉をできるだけ保つことが仕上がりの美しさにも影響します。

抜歯即時埋入のメリット
  1. 骨・歯肉の痩せを
    抑えられる
    抜歯後の骨吸収を最小限に抑え、インプラントを長期的に安定させる土台を守ります。前歯部では歯肉ラインの維持にもつながります。
  2. 前歯がない期間を
    最短にできる
    抜歯と同日に仮歯まで装着できるため、前歯がない状態になる期間がありません。日常生活や見た目へのご負担を大幅に減らせます。
  3. 治療期間・通院回数を
    短縮できる
    抜歯とインプラント埋入を1回の手術で行えるため、全体の治療期間と患者様の通院ご負担を少なくすることができます。
注意点

埋入直後にインプラントが骨にしっかり固定される力(初期固定力)が得られること、また骨の量・質が一定の基準を満たすことが必要です。全員に適応できるわけではありません。

本症例の治療について

治療の流れ

  1. 精密検査と治療計画の立案

    レントゲン撮影と歯周組織の検査を行い、骨の量・質・歯根の状態を確認しました。抜歯即時埋入が適応できるかどうかを慎重に判断し、患者様に治療方針を丁寧にご説明しました。
    この段階でCT撮影を行い、埋入位置を緻密に決定していきます。

    精密検査と治療計画の立案

  2. 抜歯(右上2番・左上1番)

    麻酔下で右上2番・左上1番を丁寧に抜歯しました。抜歯後の穴(抜歯窩)は次のステップでインプラントを入れる場所になるため、骨や歯肉へのダメージを最小限に抑えるよう慎重に処置しました。

    抜歯(右上2番・左上1番)

  3. サージカルガイドの装着

    サージカルガイドは、インプラントを骨の中に正確に埋め込むための道具です。治療計画で決めた位置通りにインプラントを埋入するために、サージカルガイドを装着しました。

    サージカルガイドの装着

  4. インプラントの埋入
    (抜歯と同日・抜歯した穴(抜歯窩)を利用)

    抜歯した穴をそのまま利用して、チタン製のインプラント(人工歯根)を骨の中に埋め込みました。埋入直後に十分な固定力が得られていることを確認しながら処置を進めました。

    インプラントの埋入

  5. GBR(骨の再生を促す処置)の同時施行

    インプラント周囲の骨が不足している部分に骨補填材(骨の代わりになる材料)を詰め、骨の再生を促す「GBR(骨再生誘導法)」を同時に行いました。

    GBR(骨の再生を促す処置)の同時施行

  6. 仮歯の装着(同日)

    インプラント埋入後、その日のうちに仮歯を装着しました。前歯がない状態になる期間はありません。

    仮歯の装着(同日)

  7. 骨との結合を待つ期間

    インプラントが顎の骨としっかり結合するのを待ちます。この間も仮歯を使用していただけます。定期的に来院していただき、レントゲンや口腔内写真で状態を確認します。
    こちらの写真は術後1週間ほど経過した後の様子になりますが、仮歯の状態でも全く問題ございませんでした。

    骨との結合を待つ期間

  8. 最終的な被せ物(クラウン)の型取り

    インプラントと骨がしっかり結合したことを確認した後、右上2番・左上1番に最終的な被せ物を装着するための型取りをスキャナーを使用して行いました。

    最終的な被せ物(クラウン)の装着

  9. 最終的な被せ物(クラウン)の装着

    インプラントと骨がしっかり結合したことを確認した後、右上2番・左上1番に最終的な被せ物を装着しました。

    最終的な被せ物(クラウン)の装着

治療後の口腔内の状態について

口腔内写真

治療前

治療前

治療後

治療後

レントゲン写真

治療前のレントゲン写真

治療前

治療後のレントゲン写真

治療後

治療前後の比較

治療前の写真では、上顎前歯部の歯肉に広範囲にわたる赤みが認められます。
歯肉が腫れた状態が続いていたことで、歯と歯肉の境目のラインも乱れており、前歯全体として整った印象とは言いにくい状態でした。

治療後の写真と比較すると、歯肉の赤みが落ち着き、引き締まった状態になっていることがわかります。歯肉の境目のラインや色調も整い、前歯部として自然な見た目に近づいています。
インプラント周囲の歯肉が健康な状態で安定していることは、長期的な予後を考える上でも重要なポイントです。

レントゲン写真では、2本のインプラント体が骨の中にしっかりと埋入されていることが確認できます。
インプラント(写真内の白い棒状の構造物)の周囲に骨が十分に存在しており、骨吸収(骨が溶けて減ること)の所見は認められません。
抜歯と同時に埋入を行ったにもかかわらず、周囲の骨がしっかりと保たれていることは、抜歯即時埋入の大きな利点のひとつです。

本症例のこだわりについて

歯肉ラインの形態調整
(スキャロップの整え方)
前歯の歯肉は、歯と歯が隣り合う部分(歯間部)に向かってV字状に入り込むような曲線を描いており、これを「スキャロップ」と呼びます。
このラインが乱れていたり、歯と歯の間の歯肉が不足していると、歯と歯の間に黒い三角形の隙間(ブラックトライアングル)が生じてしまいます。
本症例では、このスキャロップのラインを丁寧に整えることで、歯肉が歯間部までしっかりと満たされた状態を作り、ブラックトライアングルが生じないよう配慮しました。

歯肉ラインの形態調整(スキャロップの整え方)


補綴物の軸の調整
(光の反射を整える)
以前の修復物は、歯の向き(軸の方向)がやや外側に傾いていたため、光が自然に反射されず、歯全体として不自然な印象を与えていました。
今回は補綴物の軸の方向を適切に整えることで、光が歯面に均一に当たり、自然な輝きと立体感が生まれるよう調整しています。歯の美しさは「形」だけでなく「光の見え方」にも大きく左右されるため、この点は審美補綴において特に重要なポイントのひとつです。

補綴物の軸の調整(光の反射を整える)


色調合わせの難しさとその対応
本症例では、中央(右上1番)に天然歯が残っていたため、その歯の色に補綴物の色を合わせる必要がありました。
天然歯はひとつひとつ色の深み・透明感・グラデーションが異なるため、既製のシェードガイドだけでは対応が難しく、技工士との綿密な連携のもと、色調・透明感・表面のテクスチャーに至るまで細かく調整を行いました。隣の天然歯と自然に調和する色合いを再現することは、前歯補綴の中でも特に技術的難易度の高い作業のひとつです。

色調合わせの難しさとその対応

担当医師より

本症例では、前歯という審美的に重要な部位において、抜歯即時埋入という術式を選択しました。
この方法の最大の目的は、抜歯後に起こる骨・歯肉の変化を最小限に抑えることです。
前歯部では歯肉のラインが仕上がりの見た目に大きく影響するため、骨や歯肉をできる限り守ることが、長期的に自然な見た目を維持するうえでも重要と考えています。

一方で、抜歯即時埋入はすべての患者様に適応できる術式ではありません。
埋入直後にインプラントが骨にしっかり固定される力(初期固定力)が得られるかどうかを精密に評価した上で、適応を判断しています。
治療の選択肢とそれぞれの利点・リスクについて患者様に十分ご説明し、ご納得いただいた上で治療を進めることを大切にしています。

治療時期 2024年4月
主訴 前歯を再治療したい
治療期間 3ヶ月
治療費 前歯の抜歯即時埋入 100万円
リスク インプラント周囲炎