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前歯のブリッジに違和感がある

上顎前歯部インプラントブリッジによる審美回復

患者様の主訴

患者様の主訴

前歯のブリッジに違和感がある

「前歯のブリッジに違和感がある」とのことで当院にご来院されました。
長年使用されていた上顎前歯部のブリッジに不具合が生じており、支台となっていた歯も含めて前歯部全体の機能・審美性が損なわれている状態でした。
しっかり噛めるようにしたい、そして人前で自然に笑えるような見た目を取り戻したいというご希望をお持ちでした。

診査・診断/治療計画

精密検査(パノラマレントゲン・CT撮影)と口腔内診査を行ったところ、上顎前歯部のブリッジは支台歯の状態が不良で、そのまま維持することが難しい状態でした。
歯質の大部分が失われている歯があり、欠損部の歯茎にも炎症が認められました。

診査結果をもとに、以下の治療計画をご提案しました。

  • 保存が困難な上顎前歯部の歯を抜歯し、既存ブリッジを撤去する
  • 右上1番・左上1番の位置にインプラントを2本埋入する(抜歯即時埋入)
  • 右上2番・左上2番はポンティック(ダミーの歯)として、インプラント2本で4本分の歯を支えるブリッジを装着する
  • 右上3番は単冠(1本だけの被せ物)で修復する

隣り合う前歯すべてにインプラントを埋入するのではなく、支持となる2本に絞り、その両隣をポンティックで補う設計としました。
埋入本数を抑えることで、外科的な負担とご費用を軽減しながら、前歯部に必要な強度と自然な見た目を両立させる計画です。

埋入位置を1番にした理由

埋入する位置を右上1番・左上1番としたのは、咬合(噛み合わせ)・審美性・解剖学的条件の3点を総合的に評価した結果です。

咬合

前歯は下顎を前方に動かしたときに上下が接触する部位です。この力を1本に集中させず、正中を挟んだ1番の2本で受け、上部構造を連結して分散させる設計としました

審美性

1番は口元でもっとも目に入る部位です。ここをインプラント支持とすることで、被せ物の形態と歯茎とのバランスをコントロールしやすくなります

解剖学的条件

CTで骨の厚み・幅を三次元的に確認し、インプラントを支持するのに十分な骨量が確保できる位置として1番を選択しました

これらを踏まえ、1番の2本を支持、2番をポンティックとする4本連結のブリッジという設計に至っています。

本症例の治療について

治療の流れ

  1. 精密検査・診断

    パノラマレントゲン、CT撮影、口腔内写真によって、残存歯の状態と顎の骨の量・質を三次元的に確認しました。その上で治療計画をご説明し、ご納得いただいたうえで治療を開始しています。

  2. 既存ブリッジの撤去・抜歯即時インプラント埋入(右上1番・左上1番)

    違和感の原因となっていた上顎前歯部のブリッジを撤去し、保存が困難な歯を抜歯しました。そして、その抜歯した穴が治るのを待たず、同じ日のうちに右上1番・左上1番の位置へインプラント体を埋入しました。これを「抜歯即時埋入」といいます。
    CTで事前に確認した骨の厚みと方向をもとに、抜歯窩を活かして適切な位置・角度に埋入しています。

    抜歯と埋入を1回の手術でまとめることで、外科処置の回数が1回で済み、抜歯後に起こりやすい骨や歯茎のやせを最小限に抑えられるという利点があります。治療期間の短縮にもつながります。

  3. 仮歯の装着

    手術後、前歯が抜けたままにならないよう仮歯を装着しました。前歯は見た目への影響が大きい部位のため、治療中も人前で気にならない状態を保てるようにしています。

  4. 結合期間(オッセオインテグレーション)

    インプラント体と顎の骨がしっかり結合するまで待機期間を設けました。この間は仮歯で日常生活を過ごしていただき、あわせて歯茎の治癒状態を経過観察しています。

  5. 上部構造の装着

    結合を確認後、口腔内スキャンを行い、右上2番から左上2番までの4本分をつなげたインプラントブリッジを装着。あわせて右上3番に単冠を装着し、前歯部全体の形態と色調を整えて治療完了となりました。

治療前後の口腔内の比較

口腔内写真

治療前
治療前
治療後
治療後

レントゲン写真

治療前
治療前
治療後
治療後

治療前後の口腔内写真を比較して
みると

上顎前歯部は歯質が大きく失われた歯が残るのみで、欠損部の歯茎にも炎症が見られる状態でした。前歯で噛むことが難しく、口元の見た目にも大きな影響が出ていました。

治療後は上顎前歯部に自然な色調・形態の歯列が回復しています。歯茎の炎症も改善し、健康的なピンク色に落ち着きました。左右対称性のとれた歯並びとなり、前歯でしっかり噛める機能と、自然な笑顔の両方を取り戻すことができました。

本症例のこだわりについて

必要最小限のインプラント本数で機能を回復

欠損した歯の本数ぶんインプラントを埋入するのではなく、骨の状態と噛み合う力の方向を診査したうえで、右上1番・左上1番の2本を支持として選択しました。ポンティックを組み合わせることで、身体への負担とご費用を抑えつつ、前歯部として十分な強度を確保しています。


残せる歯は残す

右上3番は抜歯せず、単冠での修復としました。ご自身の歯を1本でも多く残すことは、その後の噛み合わせの安定にもつながります。

担当医師より

前歯のインプラント治療では、見た目の自然さと長期的な安定を同時に満たすことが何より大切になります。本症例では、右上1番・左上1番の前歯2本にインプラントを埋入し、右上2番・左上2番はポンティック(人工歯)として補う設計を選びました。

左右2番にインプラントを埋入しなかったのは、その部位への埋入が技術的に難しいから避けたわけではなく、精密検査の結果、2本という最小限の本数でも前歯として十分に機能を発揮できると判断したためです。

インプラントは本数が多いほど良いというものではなく、増えれば外科的な負担も費用も増し、骨の状態によっては骨を足す追加の手術が必要になります。必要な機能を満たせるのであれば、少ない本数で確実に支えるという選択のほうが、患者様にとって利点が大きいと考えています。

ただし、この「最小本数で支える」という設計は、事前の診査・診断の精度がそのまま結果を左右します。本症例で慎重に検討したのは、被せ物と歯肉のバランスおよび審美性、CTで三次元的に確認した骨の厚み、そして下顎を前に動かしたときに前歯にかかる力を2本で分散して受けられる配置か、という3点です。これらを踏まえて埋入位置を決定しました。加えて、2本のインプラントを一体化させた上部構造とすることで、ポンティックにかかる力も分散して受け止められる構造になっています。

「前歯に違和感がある」「昔入れたブリッジが気になる」といったお悩みは、放置すると支えている歯にも負担が広がっていきます。少しでも気になることがあれば、お早めにご相談ください。

主訴 前歯のブリッジに違和感がある
治療期間 9ヶ月
治療費 175万円(税別)
リスク 外科手術に伴う腫れ・内出血・感染、インプラント周囲炎、過度な衝撃による補綴物の破折、まれに神経・血管損傷の可能性