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上下とも歯がない

オールオン4・6で全顎治療

患者様の主訴

患者様の主訴

歯がなく、食事や会話に不自由を
感じている

歯がほとんど残っていないため、食事や会話に不自由を感じているというお悩みで来院されました。

お口の中を拝見すると、上顎にはご自身の歯がまったく残っておらず、下顎にもごくわずかに歯の根の一部が残るのみという状態でした。

食べたいものを思い切り噛むことができない、人と話すときに口元が気になるといった日常の困りごとを長く抱えてこられたご様子で、しっかり噛める状態と自然な見た目を取り戻したいというご希望をお持ちでした。

治療前の口腔内の状態について

口腔内写真

口腔内写真

レントゲン写真

レントゲン写真
治療前の問題点
  • 上顎にはご自身の歯が一本も残っておらず、歯茎だけの状態である
  • 歯を失ってから時間が経過し、骨と歯茎の形が変化している(口腔内写真の黄色のライン部分)
  • 下顎もほぼ歯が残っておらず、残根の状態である(レントゲン写真の黄色の丸の部分)
  • 上下ともに噛み合わせを支える歯がなく、噛みくだく機能が大きく低下している

診査・診断

このまま噛めない状態を続けた場合、噛む刺激が顎の骨に伝わらないため、骨の痩せがさらに進行していきます。
骨の痩せが進むと、将来どの治療法を選ぶ場合でも条件が厳しくなります。

レントゲンとCTの所見からは、上顎は骨の高さに場所ごとのばらつきがあり、左右の奥側では上顎洞(上顎の奥にある空洞)が下方に張り出していることが確認できました。
下顎は前歯部から奥にかけて、比較的安定した骨量が残っていました。

本症例のような状態においては、取り外し式の総入れ歯、もしくはインプラントを土台とした固定式の治療、どちらか二択となります。
患者様の一番のご希望が「自分の歯のように噛みたい」だったため、固定式のインプラント治療を中心に検討を進めました。

骨の量と硬さを踏まえると、上顎は本数を増やして噛む力を分散させたほうが長期的に安定します。そのため、上顎オールオン6(6本のインプラントで上顎全体の歯を支える治療法)・下顎オールオン4(オールオン6と同じ仕組みで、インプラントの本数を4本にしたもの)という組み合わせを採用することにしました。

本症例の治療について

治療計画

採用した治療法は、上顎にオールオン6、下顎にオールオン4を行い、上下それぞれを固定式の人工の歯で回復させる方法です。

選択肢としては総入れ歯もご提案しましたが、取り外し式の入れ歯は固定式に比べて安定感や咀嚼能率が劣ること、装着時の違和感が長く残ることがあるといった点をお伝えしました。
模型と画像を使って両者の見た目や使用感の違いをご確認いただき、十分にご検討いただいたうえで本治療計画にご同意いただいています。

外科手術を伴うこと、術後にインプラント周囲炎(インプラントのまわりの歯茎や骨に炎症が起こる病気)が起こりうること、装着後も定期的なメンテナンスが必須となることについても、事前にお伝えしております。

治療の流れ

1. 精密検査と治療計画の確定

レントゲン撮影とCT撮影を行い、上下の顎の骨の量・厚み・硬さを立体的に確認しました。神経や血管の走行、上顎洞の位置関係まで詳しく調べ、どの位置に・どの角度で・どの長さのインプラントを埋入するかを事前に設計しています。

2. インプラントの埋入手術と仮の歯の装着

事前の計画に沿って、上顎に6本、下顎に4本のインプラント(人工の歯の根となるチタン製のネジ)を埋入する手術を行いました。

上顎の奥側の左右では、上顎洞を避ける角度でインプラントを傾斜させて埋入し、限られた骨の中で安定した支えを確保しました。下顎では、顎を通る神経を傷つけないよう、治療計画通り埋入しました。

仮の歯の担う役割

手術当日には、埋入したインプラントの上にプロビジョナル(仮の歯)を装着しました。これにより歯がない期間をつくらずに済み、治療中のお食事や見た目への影響を限りなく小さくすることができました。

仮の歯は機能を一時的に取り戻すためのものですが、それだけでなく、最終的な人工の歯の形や噛み合わせを事前に試すための試作という役割も担います。

仮の歯の担う役割

3. 骨とインプラントが結合するまでの経過観察

埋入したチタンと骨がしっかり結合するまで、数ヶ月の治癒期間が必要ですので、定期的に経過を確認しつつ待ちました。

来院時にはレントゲンで骨の状態を確認し、仮の歯の噛み合わせやお手入れの状況をチェックしています。仮の歯を使っている間に感じた違和感やお食事のしにくさがあれば、その都度調整を行い、最終的な人工の歯の設計に反映させるための情報として蓄積していきました。

4. 最終的な人工の歯の製作と
装着

骨との結合が十分に得られたことを確認したうえで、最終的な人工の歯の製作に進みました。仮の歯で得られた情報をもとに、歯の大きさ・色合い・歯茎との境目の形・噛み合わせの高さや位置を一つひとつ設計しています。

固定式の人工の歯は装着後の大幅な修正が難しいため、装着前の段階で歯科技工士(人工の歯を製作する専門の技術者)と色味や歯茎ラインのサンプルをすり合わせ、自然な見え方と噛み心地に近づくよう仕上がりを詰めていきました。

5. 噛み合わせの最終調整

上下に最終的な人工の歯を装着した後、噛み合わせの最終調整を行いました。上下の歯が均等に当たっているか、横にずらしたときに不自然な力がかからないか、発音に影響が出ていないかなど、複数の観点から確認しました。

特定のインプラントに過剰な負担が集中すると、長期的にはインプラント周囲炎などの原因にもなり得ます。
力ができるだけ均等に分散するよう、噛む位置を細かく調整して咬合を整えました。

治療後の口腔内の状態について

口腔内写真

治療前
治療前
治療後
治療後

レントゲン写真

治療前のレントゲン写真
治療前
治療後のレントゲン写真
治療後

治療前後の比較

治療前後の写真を比較するとわかる通り、治療前は上下ともに歯がほぼ失われ、上顎は歯茎だけの状態で、その表面には不規則な凹凸が見られていました。治療後は上下に整然とした人工の歯が並び、しっかりと噛み合う状態が回復しています。

歯の色合いは自然な範囲に収まっており、人工の歯茎部分の色もご自身の歯茎となじむよう仕上げているため、人工の歯と歯茎の境目に強い違和感は出ていません。

また、治療前に確認された上顎の歯茎の波打つようなラインは、最終的な人工の歯の設計で歯茎部分の形を補ったため、外から見える範囲では目立たなくなりました。
下顎の頬側にもややボリュームのある歯茎の形を再現しており、唇との位置関係も自然です。

レントゲン写真でも確認できる通り、治療前にはほぼ歯のない顎の骨だけが見える状態でしたが、治療後は上顎に6本、下顎に4本のインプラントが計画どおりの位置と角度で埋入され、その上に固定式の人工の歯が装着されています。
骨とインプラントの境界に異常な像は認められず、結合は良好と評価しています

本症例の配慮した点

見た目の自然さを追求したこと

オールオン4・6では、人工の歯と人工の歯茎が一体となった構造になるため、見た目の自然さは歯の部分だけでなく、歯茎部分の再現性に大きく左右されます。

本症例では、唇を動かしたときに見える範囲を中心に、人工の歯茎の色味と形に段差や色ムラが出ないよう細かく調整しました。

仮の歯の段階で患者様に実際に使っていただき、笑ったときの見え方・発音・噛みやすさをご自身の感覚で確認いただいた点も、本症例で時間をかけたところです。
最終的な人工の歯は、その使用感をフィードバックしながら仕上げています。

見た目の自然さを追求したこと

担当医師より

本症例で最も神経を使ったのは、上顎奥側のインプラントの埋入位置と角度を決めることでした。
上顎洞が下方に張り出している部位は骨の高さが限られており、まっすぐ埋入するとリスクが伴います。
事前のCT解析で骨の厚みを部位ごとに確認し、奥側の左右は傾斜をつけて埋入することで、骨を増やす外科処置を追加せずに必要な支えを確保する設計を選びました。

固定式の人工の歯は一度装着すると大きな修正が難しいため、仮の歯の段階で患者様に実際に使っていただき、笑ったときの見え方や噛み心地を確認しながら、最終的な形と噛み合わせを決めていきました。

治療後、以前よりもしっかりお食事を楽しめるようになったとうかがい、治療に携わった者として大変嬉しく思っています。
複数の選択肢の利点とリスクを偏りなくお伝えし、ご納得いただいたうえで治療計画を立て、実施することが私の役目だと考えています。

治療時期 2023年8月
主訴 歯がない
治療期間 8ヶ月
治療内容 上顎 オールオン6、
下顎 オールオン4
治療費 7,000,000円
リスク インプラント周囲炎のリスク、術後の噛み合わせ調整が必要

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